現在の地球の状態

 地球は半径約6400km,質量は約6×1024kgの球である。地球は大きく,大気圏・水圏・固体地球の3つの部分に分類できる。さらに固体地球は,地殻・マントル・核の3種類の部分に分類できる。また,大気圏・水圏・固体地球に加えて生物圏を考えることも多い。

 大気圏

 地球の大気はおもに窒素(約78%)と酸素(約21%)からできている。残りの1%の中に,アルゴンガス・二酸化炭素・一酸化炭素・メタンガスなどの微量成分が含まれている(大気組成の割合には水蒸気は含まれていない)。現在の地球上の大気の質量は約5×1018kgである。

 地球が生成したばかりの頃の初期大気には,酸素は全く含まれていなかったと考えられている。そのころの大気の主成分は水蒸気と二酸化炭素であり,水蒸気が海を形成し二酸化炭素が石灰岩を形成して大気中から取り除かれた。そのために窒素ガスが主成分になったと考えられる。そしてその後,地球上に生命が誕生して植物が光合成を行うようになると,大気中に酸素が徐々に蓄積していって現在の大気組成になったと考えられている。

 水圏

 地球表層でH2Oが存在している場所が水圏と定義されている。地球表層には約1.4×1018m3H2Oが存在している。質量で表すと1.4×1021kgになる。H2Oは地球表面の温度分布の範囲で,気体・液体・固体の3種類の状態で存在している。そのうち,地球上に存在するH2Oの大部分は液体のH2Oとして海を形成しているH2Oである。海水は,地球表面に存在するH2Oは97.2%にあたる約1.32×1018m3を占めている。海の次に多いのは,固体のH2Oとして南極やグリーンランドの氷床を形成しているH2Oである。これらを合計すると地球表面のH2Oの2.15%にあたる約3×1016m3になる。この2種類で,地球表面に存在するH2Oの99%以上を占めている。その他に地球の表面に存在するH2Oの種類としては,地下水(約8.5×1015m3; 0.625%)・湖水(約2.3×1014m3; 0.017%)・大気中の水蒸気(約1.3×1013m3; 0.001%)・河川水(約1×1012m3; 0.0001%)などがある。

 海洋の面積は地球の表面の約70%を占めている。その平均の深さは約3800mである。そして地球表面の山などを平らに整地すると,地表全体が約3000mの深さの海におおわれてしまうと言われている。

 海水の主成分は言うまでもなくH2Oである。H2Oは海水の96.5%を占めている。そして海水には約3.5%の塩類が溶けている。最も多いのは塩化ナトリウム(食塩)であり,1kgの海水に約28g溶けている。その他に多い塩類としては,塩化マグネシウムが約4g,硫酸マグネシウムが約2g,硫酸カルシウムが約1.3g,硫酸カリウムが約0.8g,炭酸カルシウムが約0.1g溶けている。

 固体地球

 固体地球は,地殻・マントル・核の3種類の部分に分類することができる。それぞれの密度は地殻が2.8g/cm3・マントルが4.5g/cm3・核が11g/cm3である。また,平均の厚さは,地殻が約17km・マントルが約2900km・核が約3500kmである。人類が最も深く掘削した縦穴がせいぜい10km程度であるから,地球の内部に関してはほとんど直接試料が得られていない訳である。

 そこで隕石などの元素組成から地球の元素組成の推定値を求めると,鉄と酸素が約30%,ケイ素が約17%,マグネシウムが約16%,以下ニッケル・イオウ・カルシウム・アルミニウム・ナトリウムなどの元素が2〜1%程度の値で続く。最も多く存在すると考えられている鉄は,主として核に存在する。

 また,地殻中に存在する元素を百分率で表した数字を「クラーク数」と呼ぶ。地殻中に最も多く存在する元素は酸素であり,そのクラーク数は約50%である。第2位はケイ素で約26%,第3位以下はアルミニウム・鉄・カルシウム・ナトリウム・カリウム・マグネシウム・水素・チタンという元素が並んでいる。地殻の主成分は主として二酸化ケイ素(SiO2)であり,その成分元素である 酸素とケイ素がクラーク数の第1位と第2位を占めている。

 マントルは地殻の下部から深さ約2900kmまでの部分で,地球の質量の約70%を占めている。マントルの化学組成の推定値を見ると,二酸化ケイ素(SiO2)が 約45%・酸化マグネシウム(MgO)が約35%であり,この2種類の物質が主成分となってケイ酸マグネシウム(MgSiO3)を形成している。その他に,鉄やアルミニウムの酸化物などが存在しているようである。

 地球の中心に存在する核は,外核と内核に分けられる。地震波などによる観測から,外核は流体(液体)として,内核は固体として存在することが知られている。核の元素組成の推定値を見てみると,鉄が約80%・ニッケルとイオウが約5%・酸素が約3%である。

 現在の地球は以上のような状態であるが,生命が誕生した頃の地球の大気組成は現在のそれとは全く異なっていた。

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