惑星上に生命が発生する条件

 太陽系内の惑星・衛星の中で生命が存在することが確認されている惑星は,現在のところ地球だけである。なぜ地球だけに生命が誕生したのであろうか?金星・地球・火星の3つの惑星は,大きさなどの性質は互いに類似している。しかし,その表面温度は金星が約450℃,火星が約−55℃である。

 惑星上に地球型の生命が発生するためには,惑星表層に液体のH2Oが安定に存在することが必要条件である。

 この条件を満たすためには,恒星から惑星が受けるエネルギー量が,地球が太陽から受けているエネルギー量を1.0とすると,0.9〜1.3の間に入っていなければならない。このエネルギー量の範囲をハビタブル・ゾーンという。

 惑星の受けるエネルギー量を決定するのは,恒星の光度と恒星と惑星との距離である。太陽系では,地球と太陽との距離を1とすると,0.95から1.5の範囲がハビタブル・ゾーンであると考えられている。金星はハビタブル・ゾーンよりも太陽に近い位置に軌道が存在するために,表面温度が450℃以上の灼熱の惑星になってしまった。

 このハビタブル・ゾーンは,恒星の光度によって分布が異なってくる。ハビタブル・ゾーンは,質量が大きな恒星では恒星から遠い部分に存在し,質量が小さな恒星では恒星に近い部分に存在する。

 しかし火星はハビタブル・ゾーン内に存在する。ではなぜ火星には生命が存在しないのだろうか。それは,火星が地球の9分の1の質量であることが原因である。

 火星は質量が小さいために大気量が少なくなり,温室効果が小さくなってしまった。結果として表面の寒冷化が進行していった。ハビタブル・ゾーン内に惑星が存在しても,惑星の質量が小さすぎると火星のように大気が希薄な惑星になってしまう。逆に惑星の質量が大きすぎると,分厚い大気が大きな温室効果を起こしてしまって地表温度は非常に高くなってしまう。惑星の質量が地球の0.8〜4倍程度の場合には穏やかな気候を保つことができると考えられる。

 以上の2つの要素を同時に満たす惑星は,液体のH2Oが安定に存在し,地球型の生命が発生する可能性があると考えられる。

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